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2016年10月 1日 (土)

『日本地理初歩』(明治26年)

 このようなものを入手しました。明治時代の日本地理の教科書で上下2冊です。
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 裏表紙には持ち主の名前が書いてありました。
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 山梨県中巨摩郡の御影高等小学校の手塚今朝次郎君です。「第壱学年生徒」とあり、「壱」の右下に「貳」とありますので、高等小学校の1年生から2年生に掛けて使ったのでしょう。高等小学校1年生は、今の小学5年生に当たります。

 ここまでは良いのですが、中を開いてびっくり。
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 巻頭の凡例はルビなしの文語文です。この部分は生徒ではなくて教員や親が読むことを想定しているのでしょうかね。

 凡例の1行目に「旨趣」という語があります。今の「趣旨」でしょうか。日国を引いてみたら、「旨趣」は項目が立っていました。吾妻鏡や平家物語の用例があります。中世までさかのぼる語のようです。一方「趣旨」も当然立っていますけど、こちらは福沢諭吉の文明論之概略〔1875〕が最初の用例です。意外と新しい語なのでした。この地理の教科書が作られた頃はまだ「旨趣」の方が一般的だったのかもしれません。調べてみないと分からないものです。

 本文の最初のページは次の通りです。
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 凡例よりも文字が大きくなっていますし、「君等ハ」で始まっているなど、生徒に向けての文章にはなっていますけど、それでもルビなしの文語文。当時の高等小学校1年生のレベルは驚くべきものですね。教師が声に出して読んでくれるのを聞きながら、生徒達は文字を目で追っていったのでしょうかね。実際を知りたい気がします。

 目次は、総論、本島、東海道、畿内、東山道、北陸道、山陰道、山陽道、四国、九州、北海道、結論となっています。

 タモリさんが好きな、河岸段丘とか陸繋島といった地理用語はなく、総論の他は、日本各県の概要といった内容です。
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 明治も26年になっているのに、まだ旧国名が中心です。これまた意外でした。

 あれこれ見ていて飽きません。(^_^)

 奥付はこのようになっています。これは下巻のです。
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コメント

現代の若い人の中には,高校で地理を履修していない人も多く
地理の知識が物足りない人も多いようです。
文化系大学が軽視される傾向もあり,私のように地理好きの人は少数派なのかもしれません。
その意味で,この文献を入手された源さんには,心から拍手をしたいと思います。

しかし,東海道は街道のことではなく
地方区分のひとつなのですね。

萩さん

 お誉めのお言葉、ありがとうございます。

 私も地理好きです。(^_^)

 我々が高校生の頃は、社会科(日本史、世界史、地理、政治経済、倫理社会?)も理科(物理、化学、生物、地学)も全部必修だったと思うのですが、今は選択なのですよね。

 医学部を受験するのに高校時代に生物を履修していないって、やはりおかしいと思います。

 この教科書では、東海道は道路の意味ではなくて古代の五畿七道の意味で使われていますね。東山道、北陸道、山陰道、山陽道も同じです。でもなぜか、南海道、西海道ではなく、四国、九州となっています。

 現在、東海地方、北陸地方、山陰、山陽という言い方はあるのに、南海地方、西海地方とは言わないことと重なりそうですね(南海トラフという言い方はありますけど)。でもなぜか、東山地方とは言いませんね。東山だけ例外。

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