『ここまで変わった日本史教科書』
このような本が吉川弘文館から刊行されていました。
新しい発見があったり、新しい観点が生じたりして、研究が進むと、当然教科書も変わって行きますね。政治的な背景で変わることもありましょう。
「大化改新」は「乙巳の変」と呼ぶようになったようですね。「帰化人」が「渡来人」になったり。おなじみの源頼朝の肖像画に「伝」が付くようになったり。
この本で、原始古代から奈良までの部分の項目は次の通りです。
1.「日本史」の始まりを求めて(旧石器・縄文)
・捏造に揺れた旧石器時代
・三内丸山遺跡のインパクト
・測定技術が変える教科書記述
2.時代区分をめぐる攻防(弥生)
・土器か稲作か
・稲作をめぐる認識の変化
・新たな年代観の衝撃
3.邪馬台国論争のゆくえ(弥生)
・戦いから生まれたクニ
・二つの顔をもつ女王、卑弥呼
・纏向遺跡に集まる注目
4.見直される倭国と半島の関係(古墳)
・消えゆく「任那」
・「帰化人」か「渡来人」か
・「任那日本府」の実態
5.変容する「聖徳太子」(飛鳥)
・「聖徳太子」よりも「厩戸皇子」
・「聖徳太子の政治」から「推古政権の政治」へ
・世界に驚いた遣隋使
6.天皇・日本・藤原京(飛鳥)
・「天皇」は古いか新しいか
・高まる「日本」国号への関心
・姿を変えた藤原京
7.律令国家の最盛期はいつか(奈良)
・事件としての長屋王家木簡
・「公地公民制」への疑問
・評価が変わった墾田永年私財法
8.皇位を揺るがす権力者-仲麻呂と道鏡-(奈良)
・仲麻呂の唐風政策
・仏教重視の称徳・道鏡政権
・動揺する皇位
旧石器の捏造、ありましたね。弥生時代の始期が大幅にさかのぼりそうだというのも衝撃的でした。三内丸山遺跡や纏向遺跡の発見も大きな成果ですね。
藤原京もずいぶん大きくなってしまいました。
長屋王家から出土したおびただしい木簡は、私にとっては地名表記の宝庫という感じですが、日本史学にとっては公地公民制の見直しにも繋がるようです。
「墾田永年私財法」は、私の高校時代は「墾田永代私有令」でした。
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>私の高校時代は「墾田永代私有令」でした。
私が高校の時はすでに墾田永年私財法(私財の法と「の」を詠み添えていたかな?)
まあ、それにしても変化が激しいですねえ。「任那」が教えられていないとか、かわりに「加羅」という小国群が教えられるようになっているとか・・・それが学問の進歩といえばそうなのですが・・・まあ、あれだけあちらこちらからいろいろと発掘されれば仕方ないですよね。
投稿: 三友亭主人 | 2016年9月18日 (日) 22時43分
三友亭主人さん
あ、三友亭主人さんの頃はもう「墾田永年私財(の)法」でしたか。
ちょうど変わったあたりだったのでしょうかね。
本当にいろいろなものが発掘されていますよね。20年後くらいの教科書には、「邪馬台国は○○にあった」なんて記述されていたりして。(^_^)
肖像画も、頼朝だけじゃなくて、おなじみの足利尊氏や武田信玄も見直しがなされていますね。
油断なりません。(^_^)
投稿: 玉村の源さん | 2016年9月18日 (日) 23時52分