奈良名所絵図(2)
このようなものを入手しました。またネットオークションです。左右で色合いが異なるのは、大きさの点で1度にスキャンできず、別々にスキャンしたせいです。(^_^;
『奈良名所絵図』は以前も入手したことがあり、まほろぐにご披露しました。
2つ見比べると、ぱっと見には同じですね。違いは、以前入手したのは単色、今回のは2色という点です。といっても、今回のも2色刷なのか、あるいは朱は手彩色なのか、はっきりしません。
ググってみましたら、『奈良名所絵図』は人気があったようで、現存しているものが多く、版も多いそうです。
異版のポイントは、東大寺南大門の真南、地図下端付近にある「ゆきげのさわ」の描き方で、新しいほど横線の数が減るそうです。
単色版は以下の通りです。
2色の方は以下の通りです。
両者を比較すると、2色版の方が線の数が多いので、こちらの方が古いということになりそうです。ところが、文字は明らかに単色版の方がシャープです。版を重ねるほど、文字は摩耗するはずなのに。
文字はあとから彫り直したのでしょうかね。
転害門付近の単色版。
同じ場所の2色。
両者の文字はよく似ていますけど、比べると違いますね。「是よりてがい丁」の「是」とか「て」とか、「丁」の字の横画の傾きとか、その下の「はたごや」。「かげきよ門」のそれぞれの文字とか。文字は同版ではありませんね。
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こんにちは。
いつも珍しい資料が拝見できるので楽しみにしています。
「ゆきげのさわ」の「わ」や「いけ」の「け」の1画目など
違いますね。
「いけ」の右のスギナのような木の枝振りも違うようです。
門の方の建物の屋根の反り具合や脇の木の枝振りも。
和本の時代のものはあまり詳しくないのですが、
どちらかを版木に重ねて彫り直したのではないでしょうか。
投稿: 源さんの後輩 | 2016年8月 8日 (月) 17時40分
源さんの後輩さん
コメントをありがとうございます。
ネットオークションを始めてから、いろいろと珍しいものが手に入ります。(^_^;
楽しみと言われると、励みになります。収集を続けます。(^_^)
ご指摘、ありがとうございます。
確かにそうですね。ぱっと見は同じような版なのに、細部を比べると、字ばかりでなく、絵も違いますね。ご推察のように、同じ版木に手を入れているのではなく、版木自体が違うように思います。
私も詳しくないのですが、「かぶせ彫り」というのでしょうか、印刷物を裏返して版木に貼りつけて、それを新たに彫ったもののように思えます。
違う版元が無断でやったのなら、今だったら罰せられますよね。(^_^;
投稿: 玉村の源さん | 2016年8月 8日 (月) 17時52分