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2016年8月31日 (水)

池澤夏樹氏の『日本語のために』

 このたび、池澤夏樹個人編集 日本文学全集の30として、『日本語のために』という1巻が刊行されました。
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 目次は以下の通りです。

1 古代の文体
  祝詞/池澤夏樹 訳
  古典基礎語辞典 大野晋 編著

2 漢詩と漢文
  菅原道真/中村真一郎 訳
  絶海中津 寺田透
  一休宗純 富士正晴
  良寛 唐木順三
  日本外史 頼山陽/頼成一・頼惟勤 訳
  夏目漱石 吉川幸次郎

3 仏教の文体
  般若心経/伊藤比呂美 訳
  白骨/伊藤比呂美 訳
  諸悪莫作 増谷文雄

4 キリスト教の文体
  どちりいな-きりしたん/宮脇白夜 訳
  聖書:馬太伝福音書 ベッテルハイム訳/マタイ伝福音書 文語訳/マタイによる福音書 口語訳/マタイによる福音書 新共同訳/マテオによる福音書 フェデリコ・バルバロ訳/ケセン語訳 マタイによる福音書 山浦玄嗣 訳

5 琉球語
  おもろさうし 外間守善 校注
  琉歌 島袋盛敏

6 アイヌ語
  アイヌ神謡集 知里幸惠 著訳
  あいぬ物語 山辺安之助
  萱野茂のアイヌ語辞典

7 音韻と表記
  いろはうた 小松英雄
  馬渕和夫『五十音図の話』について 松岡正剛
  私の國語教室 福田恆存
  新村出の痛憤 高島俊男
  わたしの表記法について 丸谷才一

8 現代語の語彙と文体
  辞書の言葉
  ハムレット:坪内逍遥 訳/木下順二 訳/福田恆存 訳/小田島雄志 訳/松岡和子 訳/岡田利規 訳

9 政治の言葉
  大日本帝国憲法
  終戦の詔書/高橋源一郎 訳
  日本国憲法 前文/池澤夏樹 訳
  言葉のお守り的使用法について 鶴見俊輔
  文章論的憲法論 丸谷才一

10 日本語の性格
  意味とひびき――日本語の表現力について 永川玲二
  文法なんか嫌い-役に立つか 大野晋
  私の日本語雑記 中井久夫

 極めて幅広い目配りのもとに、様々な日本語の作品と日本語論とを収めています。

 その中に『古典基礎語辞典』を収録しているのがまたユニークです。この辞書のことを高く評価しているのでしょうね。

 この辞書については、池澤氏は次のように言及しています。
Ikezawa02
 評価、高いですね。嬉しいです。♪ 丸谷才一氏と井上ひさし氏とが大野先生の応援団を自任していらっしゃいましたけれど、池澤氏も応援団ですね。

 本書には、池澤氏が例示された「なる」「こと」「もの」「なさけ」「こふ」「しほ」などの項目がそのまま採られています。

 「しほ」は私が書きましたので、なんか嬉しいです。(^_^) 延々と3ページに亙ります。百科事典ならばともかく、古語辞典で「しほ」が3ページって、類を見ないでしょうね。こんなに書いて良かったのだろうかという気もしていたのですが、池澤氏が採り上げてくださったので、きっとこれで良かったのでしょう。(^_^)

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コメント

この池澤さんのシリーズについては知っていましたが、この巻については知りませんでした。
はじめ、こんなシリーズが始まることをラジオで知ったのですがあまり興味の持てないままにいましたが、こんな巻があるなんて・・・俄然興味がわいてきました。

三友亭主人さん

 この巻は8月末に出たてのホヤホヤです。

 私も他の巻にはあまり関心がありませんが(←見てもいないのにこんなことを言ってはナンですけど)、この巻は異質ですね。

 第30巻というより、別巻という気がします。

 興味深い一冊です。

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