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2015年8月30日 (日)

土屋文明記念文学館でセミナー

 今日は、群馬県立土屋文明記念文学館でセミナーをしてきました。また愛知大学の和田明美先生との掛け合いです。今回のテーマは「万葉集東歌と古代日本語の表記」です。

 チラシは先日まほろぐに「東歌セミナー」として載せました。

 テーマは、結果的にちょっと看板に偽りありで、私は散文を中心とした表記法の変遷、和田先生は歌木簡を中心にしたお話でした。2人とも東歌のことはほぼナシ。(^_^;

 ま、万葉集東歌が一字一音の万葉仮名で表記されているのは東国方言を表記するためでしょうから、どうもそれ以上には深まりそうにありません。

 あいにくの雨天でしたが、たくさんの方が来てくださいました。
Bunmei20150830
 高校生が数人来てくれていたのが新鮮でした。万葉集に興味を持ってくれているのなら嬉しいことです。文科省よりエライ。

 私のレジュメはここをご覧ください。図を入れたので、2.5MBにもなってしまいました。よろしければ。

 3枚目の表は今回のために全く新しく作りました。割とよくできたと自負しています。←自分に甘い。(^_^;

 まだ出来立てですので、何回か改良すれば良いものになると思います。来年度の授業にも使えます。

 散文の表記の変遷は、漢文(固有名詞のみ万葉仮名)→日本語文(固有名詞のみ万葉仮名)→助詞助動詞も万葉仮名で表記→助詞助動詞等を小字で表記(宣命書き)。この線上には乗らないが、奈良時代には全体を丸ごと万葉仮名表記した散文も出現。といった流れになりましょう。

 一方、韻文の場合は、大化前後に歌を一首丸ごと万葉仮名表記した木簡が出土しています。他にも、近年、歌木簡が見つかっていますが、大部分は万葉仮名です。

 ところが、万葉集には、柿本人麻呂歌集の略体歌・非略体歌の様な表記のものがあり、天武朝にああいう表記もあったと見るべきか、あれは後世の表記と見るべきか、大きな問題でしょう。

 略体歌のような表記をした天武朝の木簡が1本出てくれば、話は大きく変わります。木簡待ちですかねぇ。

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コメント

レジュメ、大変楽しく拝見させていただきました。最後の表も大変見やすくって・・・

私もここ10日ほどの間で、二つ万葉集に関わってのお話を聞くことが出来ました。私の母校の川嶋先生、そして内田賢徳のお二人のお話です。私のようなものにもわかりやすい・・・お話で嬉しかったです。
この時期、もう一つ上野先生のお話も桜井で聞く機会があったのですが、こちらは抽選制。見事外れてしまいました。

三友亭主人さん

 レジュメにお目通し頂きましてありがとうございます。

 3枚目の表は今後改良して行きたく存じます。古事記も位置づけたかったのですが、いくつかの項目を横断するようになりそうですし、注の働きが独自性を発揮していると思いました。

 古事記の表記の特異性を改めて感じた次第です。

 短期間に講演を2つお聴きになったのですね。充実した日々、何よりと存じます。

 上野先生のご講演は残念でしたね。折角お近くでしたのに。

 現代の私たちは、意味のわからない言葉はひらがなやローマ字で一語一語記録しますね。

 東歌って、方言の意味がわからない都人が、歌垣か何かに参加して歌を聴いて、記録したんでしょうか? 人麻呂のような表記が最先端とばかりじゃないような気もするのですが、素人考えですが、どんなもんでしょうか?
 
 そもそも、東歌って、誰のために載せてるんでしょう? さっぱりわからなくてすみません。

しーちゃんさん

 方言の意味が分かっても分からなくても、方言形を表記しようとすれば万葉仮名を用いるしかなかったと思います。

 巻14の編者が家持だとすれば、防人歌の背景に興味を持ったということもありそうです。家持でなければ、都人とは違う言葉や文化に興味を持ったのかもしれませんね。

愛知大学の和田明美先生とあったので,調べたら
NHK文化センター豊橋教室の10月からの講座を担当してみえます。
受講したいなと思いましたが,あいにく火曜日は勤務日なので
いけません。

萩さん

 NHK文化センター豊橋教室のHPを見てきました。

 和田先生、源氏の講座をなさるのですね。

 源氏と万葉と、そして国語学と国文学と、それぞれ両方にまたがるマルチな研究者というところがすごいと思います。

 勤務日とぶつかって、残念でしたね。

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