万葉集四季歌巻によまれた景物
ちょっと必要があって、万葉集の四季分類歌巻(巻八・巻十)によまれた景物を集計してみました。数字は歌数です。→表はこちら(PDFファイルです)
こういう作業、先行研究がきっとあることと思いますが、自分で数えてみました。単純作業ではありますけど、微妙なところで判断が加わりますので、同じテキストを用いても、10人がやれば10通りの違ったものができあがることでしょう。
2巻合わせて4例以上の用例のあるもののみ挙げました。
雨と時雨とを分けました。沫雪と雪と雪消とを分けました。雪消は4例以下のため表には載っていません。この一方、天の川・織女・彦星などは「七夕等」として一括してあります。
目新しい結果ではありませんが、春にしか登場しないものに桜・柳・若菜・馬酔木・山吹、夏にしか登場しないものに霍公鳥・橘、秋にしか登場しないものに七夕関係・雁・鹿・田(稲穂も)・時雨・蟋蟀など、冬にしか登場しないものはありませんでした。
雪や梅は冬にも春にも登場します。他にも複数の季節にまたがって登場するものがあります。季節はゆるやかに流れて行くようです。
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>ちょっと必要があって・・・
どんな必要なのか・・・興味深いですねえ。
まあ、それはそれとして、なかなか興味深いものでした。
それほど詳しくはないんですが、その数の在り様が万葉集全体の数の比率に応じたものがあるかと思えば、その比率とは反して、この二つの巻にのみ見られるような傾向があったりして・・・
投稿: 三友亭主人 | 2014年3月27日 (木) 23時04分
三友亭主人さん
コメントをありがとうございます。
「必要」というのは、お話ししてしまえば、特にどうということはなく、月に1度話をしているカルチャーセンターで、今度、万葉集四季の歌を取り上げることになったという次第です。
話をするのは今日。(^_^) 少し余裕を持って間に合いました。♪
結果に興味を持ってくださってありがとうございます。
私個人は、もう少し意外な結果が出たら良かったのに、などと贅沢なことを思っていました。(^_^;
今回得られた結果がこの2巻だけの傾向なのか、それとも万葉集全体のかなり忠実な縮図なのか、興味深いですね。
……なんて言ってしまうと、他の18巻を調べなくてはならなくなってしまいますが。(^_^;
また、巻8・巻10の編者は、個々の歌をどのようにして四季に分類していったのかも興味深いです。歌の中に「春」とか「夏」とかの語がよまれていれば、どの季節なのか明確ですが、そういう語が含まれていなければ、ほととぎすがよまれているから夏、萩がよまれているから秋、などと決めていったのでしょうかね。
こういうこと、晴南さんの守備範囲かも。
投稿: 玉村の源さん | 2014年3月28日 (金) 01時21分