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2013年8月29日 (木)

万葉かるた(奥野カルタ店)

Okunomankaru01_2  ネットオークションで入手しました。神田神保町の奥野カルタ店発行のかるたです。

 このお店、神保町の交差点から少し北に行ったところにあります。色々なかるたやトランプ、それ以外のカードゲームなどを扱っています。信山社や一誠堂を覗いてから日本書房に行く、などという時に、このお店の前を通りますので、しばしば立ち寄っていました。

 もう15年ほど前になりましょうか、このお店で「万葉かるた」を見かけました。欲しいとは思いながらも、値段は6000円近くしましたので、迷いつつも購入を見送っていました。

 それが、ネットオークションに100円で出ましたので、早速入札しました。さすがに100円では落札できませんでしたが、1110円で買えました。(^_^)

 かるたの枚数は50枚です。百人一首と同じように、読み札は歌の全体、取り札は下の句のみです。

Okunomankaru02_2  入手して初めて中身を見てみましたら、作者も内容も大いに偏っていました。

 作者は女性が35人、男性が15人です。作者不明のものもありますが、歌の内容で男女の判別は付きました。人麻呂歌集の「君がため手力疲れ織りたる衣ぞ春さらばいかなる色に摺りてば好けむ」の作者は人麻呂自身かもしれませんが、歌の内容から女性にカウントしました。

 内訳は以下の通りです。

 【女性】額田王、当麻麻呂の妻、磐姫皇后、鏡王女、石川郎女、但馬皇女、園臣生羽の女、大伯皇女、依羅娘子、紀皇女、安倍女郎、笠女郎、大伴坂上郎女、中臣女郎、河内百枝娘子、大宅女、児島、光明皇后、筑紫娘子児島、遣唐使随員の母、東歌(駿河)、東歌(信濃)、東歌(未勘国)3、狭野弟上娘子、武蔵防人妻、柿本人麻呂歌集、古歌集、作者不明6

 【男性】天武天皇、藤原鎌足、大津皇子、柿本人麻呂、山上憶良、大伴旅人、山部赤人、東歌(未勘国)、常陸防人2、下野防人、昔年防人、柿本人麻呂歌集、作者不明2

 東歌・防人歌が合計11枚というのも、バランス的には多いですね。そして、大伴家持がありません。家持の歌は万葉集全体の1割以上を占めているんですけど、このかるたの選者は家持の歌に気に入ったものはなかったのですかね。

 全体的に恋の歌が非常に多いです。恋の歌ではなくても、わが子を心配する遣唐使随員の母の歌などが選ばれています。恋の歌をはじめとした、人と人との心のふれあいをよんだ歌が選者の心に響いたものと思われます。

 選者は峯陽という方です。ググってみましたら、詩人で、「おばけなんてないさ」や、NHKの「みんなのうた」の歌を多数作詞していました。同姓同名でなければ、この人のようです。

 選歌は偏ってはいますけど、個性的と言って良いのかもしれません。私が50首選ぶとしたら、かなりオーソドックスな、言い換えれば平凡な選歌になってしまうことでしょう。

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コメント

50首、あるいは100首撰べって言われたら難しいですよね・・・
どこかで幾つかの歌を切らなきゃあならなくなって来る・・・この時に何を基準に切ったらいいのか・・・

自分の好みなのか、世間的な評価なのか・・・?

世の中にいくつもの撰注を目にしますが、どんな基準で選んでいるんでしょうか・・・ね・・・

三友亭主人さん

 本当にそうですね。4500首もありますので、そこから50首なり100首なりを選ぶというのは難しいですよね。

 それでも、多くの人が選ぶ歌はあるでしょうから、そういうのが今日的な万葉歌なのかなぁ、などと思って、『万葉秀歌』や『日めくり万葉集』などいくつかの万葉選集のデータを集計してみたのでした。あれは去年でしたか、おととしでしたか。時の感覚が薄れてしまっています。(^_^;

 恋歌百首とか、四季の歌百首とか、植物の歌百首とか、何か縛りをかければ選びやすくなるかもしれませんね。

 この奥野カルタ店の「万葉かるた」は、恋歌五十首に近い感じですが、やや不徹底です。(^_^;

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